Sunday 24 March 2013

個人の情熱

この前、はじめてビザツアーに行ってきた。
タイは空路で入ると30日滞在できる。年間で日数のしばりはなく、空路で入り直せばそのたびにまた30日延長できるので、出たり入ったりの生活をしていたので、特にビザをとる必要がなかった。今回は2ヶ月以上いるので、60日の滞在許可がおりる観光ビザのダブルをもらいに、ラオスのビエンチャンに行くツアーに参加した。

ネットで検索して大して考えもせずに一番安いツアーに申し込んだ。
当日に申し込んだのでツアーの代金は直接会社に来てください、とのことで
パヤタイにある事務所に行った。ビルの裏に入り口があり、その警備員が入るのにIDが必要だ、というので、日本の免許証を出したらこれじゃだめだ、というので、パスポートがあるけど、でもこれは上で使うから出せないよ、というと、大丈夫、大丈夫、パスポートを貸しなさい、と取られてしまった。
三階にあがって、廊下の奥にある事務所のドアをあけると、3人はたらいていて、excuse me、と声をかけると、あ、ビザツアーですか?と日本語で言われた。

はあ
あ、じゃこっち座ってください

手前にある机をさされる
椅子に座って

あのう、パスポート
あ、じゃあ出してください
えっと、取られちゃって、下の警備員に入る時に
あーー、そうですか、取られちゃいましたか

サンプルの松井さんを少しアライグマに寄せた感じの顔をした日本人の男の人は、あ、じゃあちょっと待っててください、とそのまま外に出て行った。
きっと今までも何回かこういうことがあったんだろう。しばらくしてパスポートを持って戻ってきた。なぜわざわざ、こんなメビウスみたいな手順をふまなきゃいけないのかわからなかったけど、これからもなくなりそうにはなかった。
その後は淡々と手続きが終わり、くわしい行程はこのしおりに書いてありますから、と冊子を渡された。
代金を払い、外に出て、帰りのBTSにのりながらそのしおりを読んだんだけど、なんかすごい、なんというか、知らない他人の情熱がぷんぷんただよっていた。
全体的にこぼけ画像が散りばめられていて、しかも、なんかすごくセンスがいいとか、そういうのでもないけど、とにかくやりきって作った感じだ。

普通旅行の行程表は、単純で見やすく、ヒマつぶしになるミニコラムが乗っていれば充分なんだけど、どう考えても過剰だった。
例えば修学旅行委員ががんばって作ったネタのはいったしおりを受け取れるのは知ってるからで、この無言の個人が主張してくる感じはどう受け止めていいのかわからない。
しかも!これを作ったのはあの非常に淡々とした、よくわからない手順でパスポートを回収した事務所のだれかである。でも、あのとぺっとした日本人が作ったとは思えなかった。というか、あの時間軸に住んでる誰かがこんな過剰な事をするとは思えないけれど。
でも、事実、これは公式なしおりとしてあの旅行会社が配っているのだ。個人の情熱をさらしているのだ。
そして、結果として確かに私はあの旅行会社を忘れないと思う。


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