Thursday 16 July 2015

幸福の葬式

うちの近所にはわりかし大きな寺があり、つまり葬儀場がある。
小さな頃から最寄り駅からところどころにある、〇〇家式場、という看板は景色にあり、
余裕があるときは、ふむふむ今日は〇〇さんの葬式か、と一瞬名前を思うが、
大概はただ景色の中の看板として通り過ぎてしまう。

だけど、今日は、幸福家式場、とあった。
幸福さんの葬式だ。
黒い文字と幸福という文字のあまりのアンバランスさに立ち止まった。
隣に株式会社なんちゃらと書いてあるし、どうやら会社の名前のようにも思える。

これとにた、というか、同じく文字にとまどったのが、
今月頭にベルリンにいた時に、しぬほどあつく(その週はベルリンなのに37°あった!!!日が沈まないからずっとあつい!!!)
冷房のついてないウー1で、ぽっちゃりしたおじさんがTシャツをまくって腹を出しながら、つり革に両手でぶらさがってめっちゃリラックスしてだらーんとしてて、
そのTシャツにはっきりと日本語で『くつろぎクラブ』と書いてあった。
くつろぎくらぶ!!!
おもしろすぎて同じ車両にいれなかったが、これは文字と体が無自覚にぴったりすぎてることで、アンバランスになっている。

アンバランス、と思うには、バランスのとれてる言葉もある、ということで、
そして、この二つの場合は、どちらも無意味であることがバランスのいい言葉なのだ。

電車に乗りながら幸福の葬式を考えた。
どう想像してもほっこりしたかんじになったので、勝手に他人ながらいい葬式だったにちがいない。ご冥福をお祈りします。