Monday, 14 April 2014

アントン、猫、クリと呼ばれたあいつ

日本に帰ってきました、福岡の糸島というところで、
ダンサーの手塚夏子さんの御宅にお世話になっています
日本の春はやはり美しいです
今週の18日と20日に”アントン、猫、クリ”という作品を上演します
この作品はもう、足掛け5年もアップデートしながらやっている作品で、
アントンをやりながら、この5年、自分自身も成長してきました
また快快の仲間達と大切につくったレパートリーのひとつでもあります

アントン、猫、クリ、とよばれた野良猫はわたしが25才のころに住んでいたアパートのまわりに住み着いていたやつです
(彼にまつわるエピソードはほぼそのまま本編で使われています)
私がその猫と接する中で、部屋が家に、家がアパートに、アパートが町に、すこしずつすこしずつ広がっていく経験をしました
それは、普段、わたしたちが望む望まないにかかわらず、繰り返し続ける日常にある、
ちいさな美しさを発見する過程でもありました

朝、ぼおっと、まだおきてるかおきてないかの頭で窓の外の音を聞く事
歯を磨きながら、自分のまつげがいっぽん、ほっぺたについてるのを眺める事
階段をおりて、手にさびた手すりの匂いがつく事
毎日通う駅までの道のりで、すこしずつほころんでゆく芍薬にみとれる事
遠くまでつづく雲に反射し続ける夕暮れの光をただじっと、暗くなるまで待つ事

世界の細部は当たり前に美しいという事
この作品を上演するたびに、わたしは当時アントンが言葉にすることを助けてくれた、
その全てのいとおしい景色をはっきりと、見る事が出来ます
自分の仕事の、とても気に入っていることの一つです


しかしもう5年もやり、自分もまた半径50メートルを見つめる事から
時間と空間をとびこえた軸へと制作が変化しています
なので、今年でこの作品は一区切りさせます
日本での上演はこの福岡ツアーのみとなっていますので、
九州近辺のかたはもちろん、関西の方もすこし足をのばして、
アントン、猫、クリ、とよばれたあいつに会いにきてください



アントン、猫、クリ
Ω福岡ツアーΩ

作・演出 篠田千明
作曲 安野太郎
出演 大道寺梨乃、捩子ぴじん、野上絹代、山崎皓司
美術 佐々木文美
衣装 藤谷香子
協力 手塚夏子、nuttsponchon、快快

あらすじ
東京のとあるアパートから半径50メートルの範囲で、野良猫を中心にした世界のはなし。
ほぼ空の空間で景色と町の人々と猫が音楽の演奏のようにして語られ、ありふれた物語は観客の想像力のみをたよりに立ち上がる。だけれど、半径50メートルだって、描ききろうとしたら宇宙だ。
上演は、本編と、演者がもう一度シーンを再現するのをみながらのコメンタリートークの2部構成になっている。

4月18日(金)福岡@西鉄ホール
開演20時 開場は15分前
一般前売2,500円 学生前売2,000円
当日券300円増
☆2部のコメンタリートークゲストに糸島在住のダンサー、手塚夏子さんが参加します☆
Ω第8回福岡演劇フェスティバル公募枠作品Ω

4月20日(日)小倉@GALLERY SOAP
開演14時 開場は15分前
前売・当日2,500円(1DRINK付)
チケット予約:
アントン、猫、クリ実行委員会
090-4693-0229

Ωその他チケット取り扱い:
■チケットぴあ(Pコード: 435-759)
■ローソンチケット(Lコード: 84897)
(チケットぴあ、ローソンチケットは、4/18西鉄ホール公演のみになります)


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